攻防

11時頃、2週間前のスキンチェックの結果とサンプルを持ってポーラレディがやってきた。
そして言った。「（部屋の）中まで通していただけますか？」と。
もちろん『やばいな』とは思ったが、せっかくチェックしたわけだから、せめて結果は置いていってもらわないと困るし、説明もあるだろうし、仕方なく部屋に上げた。
そして結果の説明（予想はしていたが物凄く悪かった。酷かった）を受け、サンプルの実践を手の甲で行う。
一通り終えると、「いち様の半年か1年を、私に預けていただきたんですよ」と言われた。ほらきた。
つまりは、半年または1年をかけて肌質を改善していこうという話なわけだ。私専用に調合されたサンプルの製品版を使ったり、おうちでエステしたり。

――できるかそんなもんっ！！

しかし、何度言い直してもらっても、「～～させていただきたいと思ってるんです」「～～させて欲しいんです」という相手の意見だけで、「どうですか？」の一言さえ添えられない。あんたそれで私になにを求めてるんだ！？
そんな言い方じゃ「そうですか」しか言えないよ！？
具体的には？と訊いたら大雑把な内容は言われたが、やっぱり終わりは「～～させて欲しいんです」。うん、だからさ？

それってやっぱりお金の掛かることですよね？と問うと、そうですねと答えつつ一切その詳細は述べられない。
その後、ものすごく粘る（まあ相手は仕事だからな）レディに「いいです」「ありがたい話なんですけど、遠慮します」「その気もお金も時間もないんで」「契約しなくちゃいけないような話は、親にも通さなきゃいけないし」などなど、大量の断りの台詞を吐き、なんとか帰っていただいたのが1時頃。
2時間いたのか…。10時半に起きた私はそのときまだ朝も昼も食べていなかった。


頑なに、しかし柔らかく断り続けたら「芯がある」だの「しっかりしてる」だの言われた。親の話とお金の話をメインにしたからな。それでも具体的な数字を明かさないってことは相当掛かるんだろうな。
レディの言いたいこともわかるのだが、私の言いたいこともわかるなら引いてくれ。「それはわかるんですけど…」「なら わかってください」というやり取りも何度かした。
それに、レディの肌がつるぴかならまだ説得力があるが、レディは「同じ悩みを抱えている」というだけあって化粧の上からでもわかるニキビが…。それを改善できないなら、私の肌だって治るわけなかろう。っていうか治して来い。それで実体験を語ったほうが説得力があるだろう。
まあそんなわけで、予定通りスキンチェックの結果とサンプルだけ有り難く頂戴し、レディとはさようなら。

「細い」「白い」「背が高く見える」など、お世辞だろうけども褒め言葉も有り難く頂いておくよ。近頃本当に自分が太いなって自覚し始めたがな。なんだ周りの女子大生のあの細さは。ありえん。